芸能人水泳大会に続いて、美女の温泉入浴ルポも。消えゆくテレビのエロスに亡国の兆しを見る【宝泉薫】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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芸能人水泳大会に続いて、美女の温泉入浴ルポも。消えゆくテレビのエロスに亡国の兆しを見る【宝泉薫】

 

■芸能人水泳大会や美女の温泉入浴ルポの衰退は、何を意味するのか?

 

 ちなみに、水泳大会の衰退には芸能人が水着になりたがらなくなったことも関係している。たとえグラドルなどでも、売れると水着の仕事はしなくなるものだ。とはいえ、水着の需要が消えたわけではなく、そこをうまく利用したのがAKB48だ。何十人もの女子が水着で踊るというPVなどでのパフォーマンスは、エロスはもとより、それを超えた生命力を感じさせた。国民的グループの勢いをあれほど体現していたものはない。

 ただ、彼女たちが大活躍していた時代から10年ほどで、アイドルのエロスは様変わりした。同じ秋元康プロデュースのグループでも、坂道系は肌の露出も目立たない。ジャニーズ事務所のグループにしても、上半身スケスケの衣裳でデビューした嵐のようなケースはなくなっている。

 やはり、ここ十年くらいでいろいろと変わったのだろうか。

 そういえば、入浴シーンにおいて印象的だったことがある。2015年の「有吉ゼミ」(日本テレビ系)で元フィギュア選手の安藤美姫が旅をしたときのことだ。そのロケの目玉が温泉だったのに、露天風呂に入ったのはおぎやはぎの矢作で、彼女は着衣のまま見守るだけ。あまりにも斬新な構図に、ネットでは「刺青原因説」までささやかれた。

 それでもまぁ、アスリート系だし、海外生活も経験しているし、夫を明らかにしないままシングルマザーにもなっちゃうしで、彼女ならこれもわかる気がしたが――。いまや、男が入浴して女はしないという構図は当たり前である。

 若手の女性タレントでちょくちょく入浴しているのは、りんご娘の王林くらいだ。それを見ながら出川哲朗が「王林ちゃん、オッケーなんだ温泉ロケ」とつぶやいたりしていたが、それほど貴重なものと化している。なかにはお色気に自信があり、入浴や水着の仕事でエロスをアピールしたい子もいるだろうに、そういう子には向かない時代かもしれない。

 もっとも、この状況が男性側の心身の変化のせいでもあるとしたら由々しき問題だ。つまり、性的好奇心や精力が減退して、世の男たちが生身の女のエロスをあまり求めなくなったからとも考えられる。

 実際、筆者にも入浴シーンは「ゆるキャン△」のようなアニメでも見られるからいいや、みたいなところがなくもない。が、三次元には三次元のよさがあり、見たいものは見たいと言い続けないと、水泳大会のように消滅してしまう。男が女に性的魅力を求めるのは、種の存続のためにはよいことなのである。

 なにせ、男が女に、女が男にエロスを感じない傾向は、少子化に直結するのだ。芸能人水泳大会や美女による温泉入浴ルポの衰退は、亡国の兆しにほかならない。

(宝泉薫 作家・芸能評論家)

 

 

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宝泉 薫

ほうせん かおる

1964年生まれ。主にテレビ・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版する。2016年には『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)が話題に。近刊に『あのアイドルがなぜヌードに』(文春ムック)『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、最新刊に『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)がある。ツイッターは、@fuji507で更新中。 


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